『あぁ…私なんて、役立たずで情けなくて惨め…』
『あいつは優秀だしモテるし。それに比べて俺は…惨めな人生だな…』
生きていると、誰かと比べて惨めな気持ちになることがあるかもしれません。
惨めな気持ちになってしまうこと自体は、悪いことではありませんが、惨めな気持ちに振り回されたり、自分を否定し続けることは、健全な状態とは言えないですよね。
では、惨めな気持ちになってしまう原因と、その対処法を探っていきましょう。
惨めな気持ちになる2つの原因とは?
●原因1 価値観や思い込み
惨めな気持ちになる原因は、自分の価値観や思い込みが原因です。
「〜ねばならない」
「〜しなくてはいけない・〜してはいけない」
「〇〇は△△だ」
など、私たちは様々な価値観を持って生きています。
このような様々な価値観は、時として私たちを苦しめる原因になることがあります。
●原因2 人より優れたいという欲求
そして、私たち人間には、そもそも、「人より優れたい、自分が上位に立ちたい」という欲求があることも原因になっていると考えられます。
また、これらの2つの原因に加えて、『自分ではどうにもできない』という気持ちや、『私なんて…』など、自分を否定する気持ちが出てきたり、劣等感を感じると、惨めな気持ちになりやすくなります。
例えば、
『恋人もいないし、クリスマスに一人ぼっちで過ごして惨め』と思ったとすると…
もしかすると、クリスマスは恋人と一緒に過ごすことで満たされる、という価値観を持っているのかもしれません。そして、それができない自分を否定してしまったり、劣等感を感じ、惨めな気持ちになる、という風に考えられます。
もう1つ例をあげてみると、
『低収入で惨め…』と思ったとすると…
もしかすると、収入が多いことが勝ち組だという価値観を持っているかもしれません。
他の人と比べて収入が少なく、収入を増やすことができずにいる自分を否定してしまったり、劣等感を感じ、惨めな気持ちになる、という風に考えられます。
惨めな気持ちや劣等感を感じた時、それを、どのように対処するのかは、とても重要です。
なぜ重要なのか…
それは、対処の仕方によっては、人生が大きく違ってくるからです。
惨めな気持ちに対処するときの2つの行動パターン
私たち人間は、惨めな気持ちや劣等感などのネガティブな感情を長い間、感じ続けることはできないようです。
長い間ネガティブな感情を感じ続けるとストレスがたまり、なんとかせずにはいられなくなるようなのです。
惨めな気持ちや劣等感に対処せずにはいられなくなった時の私たちの行動は、大きく分けると2つあります。
その2つとは…
- 望んでいる人生に近づく行動
- 望んでいる人生から遠ざかる行動
望んでいる人生に近づく行動とは、問題に向き合って、解決するために前向きに行動する、すぐに問題の解決はできなくても、趣味や興味を追求したり、楽しんだり、リラックスしたり、健康を保って体を整えたりなどです。
望んでいる人生から遠ざかる行動とは、問題を合理的に解決しようと努力せず、惨めな感情や劣等感を感じる環境を避けたり、自分が優越感を感じられる環境にだけ身をおいたり、惨めな感情をお酒を飲んでまぎらわすなどです。
さて、この2つの行動、どちらがより有意義な人生になるでしょうか?
おそらく多くの人が前者の、「望んでいる人生に近づく行動」と答えるのではないかと思います。
後者は、問題解決のための努力を避けたり、ネガティブ感情から逃げているだけ、見て見ぬ振りをしているだけで、これでは、惨めな気持ちや劣等感に振り回され、人生が停滞してしまいかねません。
望んでいる人生に近づく行動ができれば、たとえ、目標を達成できなかったとしても、新しい道がひらけるでしょうし、目標を達成したとすれば、また新たな問題が出てくるものです。
問題を解決できようとできなかろうと、前向きに行動することで、私たちは成長していくのです。
前向きに行動するのが良いと思っていても、なかなか惨めな気持ちやネガティブな感情から抜け出せない時もあるかもしれません。
惨めな気持ちやネガティブな感情から抜け出すには、どうすれば良いのでしょうか。
惨めな気持ちから抜け出したい時の対処法
惨めな気持ちから抜け出して、前向きな行動をしたいと思っても、どうしても惨めな気持ちや劣等感、ネガティブ感情にとらわれ、感情に振り回されて、毎日がツラく、前向きな気持ちになれない時は、とてもシンドイです。
惨めな気持ちや劣等感、ネガティブ感情をなんとかしようと思った時、多くの人は、無理やり追い出そうとしたり、ポジティブ思考に変えてみたり、他のことで気をまぎらわそうとします。
こういったやり方は、一時的には気が紛れて楽になるので、適度に行う分には問題ないですが、やりすぎると、問題が深刻になっていくようです。
例えば…
お酒で気を紛らわそうとした人は、度がすぎるとアルコール依存症になってしまう可能性があったり、食べることで気を紛らわそうとした人は、太りすぎたり、健康被害が出る可能性があります。
惨めな気持ちや劣等感、ネガティブ感情は、無理やり追い出そうとしたり、気持ちにフタをしたり、ポジティブ思考に変えてみたり、他のことで気をまぎらわせようとするのではなく、認めて受け入れる方が、感情とうまくつきあっていけるようになるようです。
惨めな気持ちや劣等感、ネガティブ感情を認めて受け入れるための方法や考え方のポイントをまとめてみました。
ポイント1:感情は天気のようなものだと認識する
天候は、日々、刻々とうつり変わります。
晴れたり、曇ったり、雨が降ったり、風が吹いたり、台風が来たり、雪が降ったり…
私たちの気分や感情も、日々、刻々とうつり変わるもので、一日中ハッピーで楽しいというのは不可能なことです。
また、私たちは、生きていれば、ストレスや不安、人との対立、病気、ケガ、離婚、親しい人との死別、嫉妬、など、落ち込んだり、つらくなる状況はつきものです。
愛情、嬉しさ、楽しさ、興味、満足、悲しみ、怒り、恐れ、惨めさ、不安…あらゆる感情は、人間にとって、自然で正常な感情です。
私たちの感情は、無理やりコントロールするのではなく、来て、去っていくものと捉える方が、うまく感情とつきあっていけるようになるようです。
ポイント2:惨めな気持ちやネガティブな気持ちに気づいて名前をつける感情対処法 3ステップ
ステップ1 ネガティブな感情に気づいて、名前をつける
惨めな気持ちや劣等感、ネガティブな気持ちになって落ち込んだ時には、それに気づいて、名前をつけてあげると良いです。
例えば、
30代後半になり、結婚したいのに恋人もできずに、惨めさや、自分なんて誰からも相手にされない…と落ち込んでしまった時、まずは、自分の感情に気づき、「あ、惨めな気持ちがやってきた」「自分なんて…という思いを感じてる」という風に、名前をつけます。
不快な思考や感情に気づいて名前をつけるだけで、それが私たちに与える影響は軽減されます。
なぜ軽減されるのかというと、思考が現れたことに気づいて名前をつけるという行為は、前頭葉を活発にさせ、脳の「感情の嵐を引き起こしている部分」の働きを抑えるからです。
「私は負け犬だ」と言うと、自分=負け犬 ということになってしまいますが、「”私は負け犬だ”という思いが来た」と言うと、”私は負け犬だという思い”は、自分と少し距離ができます。
こうすることで、私は負け犬だという感情は、来て、去っていく、単なる思考だと認識できるようになります。
ステップ2 自分の体に注意を向ける
思考に気づいて、名前をつけたら、思考や感情はそのまま感じていて良いので、自分の体に注意を向けていきます。
例えば、今聞こえる音3つに注意を向ける、どんなにおいがするか、見渡すと見えるもの5つに注目してみる、座っているならお尻の感覚に注意を向けてみる、など。
ステップ3 今していることに集中
そして、今、自分のしていることに意識を集中します。(家でくつろいでいるのであれば、そのままくつろいだり、何かしていたなら、そのことに集中したり。)
これを行なっている最中に、「こんなことしても意味ないんじゃないか…」など、別のネガティブ思考が出てきたら、「こんなことしても意味ないという思いが来た」など、その感情も認識し、名前をつけます。
この方法は、苦痛な思考や感情を追い払おうとしたり、気をそらそうとするものではないですが、人によっては、ネガティブな思考や感情が小さくなったり、なくなったりすることもあります。(ただし、ネガティブな感情をなくすことが目的ではありません。)
惨めな思いや劣等感、ネガティブ感情が来ても、その思考に囚われ続けることがなくなり、いつ来てもOK、居たいだけ居て、去っていくものとして、共存できるようになります。
ステップ1だけでも、効果はバツグンですので、ぜひ実践してもらいたいと思います。
ポイント3:自分へのダメ出しを認識する
惨めな思いや劣等感、ネガティブ感情に囚われている時は、だいたい、脳内で自分にダメ出しし続けているのではないでしょうか。
「何をやってもどうせできない、自分は本当にダメ」
「自分なんて誰からも好かれない」
「なんであんなことしたかな、私は。サイテー」
「あの子は性格良くて可愛くていいよね。私なんて、ブスだし根暗だし、生きてる価値なし」
この、自分に向けたダメ出しの言葉を、そのまま誰かに向けたとすると…
「何をやってもどうせできない、あなたは本当にダメ」
「あなたなんて誰からも好かれない」
「なんであんなことしたのかな、あなたは。サイテー」
「あの子は性格良くて可愛くていいよね。あんたなんて、ブスだし根暗だし、生きてる価値なし」
…なかなか衝撃を受けませんか?相手を罵って傷つけるひどい言葉ですよね。
身の回りの誰かにこういう言葉をかけることって、ありますか?
他の誰かに向けて言ってしまうと、罵倒して傷つけてしまうような言葉を、自分には頻繁に発していることになります。
ダメ出しされて、否定ばかりされたら、自信をなくして、前向きな気持ちはなくなっていきますよね。
自己批判しても、行きづまるだけです。
自分自身にひどい罵倒の言葉をかけているのであれば、もう少し自分自身に励ましの言葉をかけてあげて欲しいと思います。
親しい友達や、大事な人が落ち込んでいたら、あなたはどんな言葉をかけてあげるでしょうか?
例えば… あなたは今、過酷で危険な旅をしているとします。
困難やつらいことが次々に起こって、つらくてシンドくて疲れ切って…、それでも前へ進もうと頑張ります。
でも、この旅には、パートナーが寄り添ってくれています。
あなたは、このパートナーを選ぶことができるとします。
パートナー候補の一人はこんなことを言います。
「こんなこともできないの?情けない。とにかく先に進まないと。」
そして、もう一人はこんなことを言います。
「これはシンドイよね。ツラくなるのはわかるよ。私も一緒に旅してることだし、二人で一緒に乗り越えて行こう。」
あなたは、どちらのパートナーを選ぶでしょうか?
多くの場合、二人目のパートナーを選ぶと思います。
では、自分にひどいダメ出しをするあなたは、自分にとって、どちらのパートナーと言えるでしょうか?
一人目のパートナー…ですよね。
親しい友達や大切な人には、本能的に、優しさを持って気づかってあげられると思います。自分自身にも、同じように接してみてはいかがでしょうか。
ポイント4:ダメ出しではなく、できているところに注目する
「これができてない、あれもできていない」とダメ出しするのではなく、できているところに注目することもオススメです。
「自分の中では完璧ではないけど、今日も頑張った」
「笑顔で挨拶することができた」
「ご飯を美味しく食べられた」
日常のなんでもないことで良いので、ダメ出しではなく、自分にOKを出してあげることが、自分を励ますことに繋がります。
ポイント5:価値に生きる
ここで言う“価値”とは、自分がどう行動したいか、自分や周りにどう接したいか、心の根底にある欲望のことをいいます。
例えば…
「結婚相手を見つける」というのは、目標で、「愛情あふれる人になる」のは価値です。
「子どもを持つ」というのは目標で、「面倒見がよく、温かい人になる」のは価値です。
「自分に合った仕事につく」というのは目標で、「困っている人に手を差し伸べる人になる」のは価値です。
「病気を治す」のは目標で、「自分を気づかう」のは価値です。
目標を達成してもしなくても、価値に生きることができます。
結婚相手がいてもいなくても、愛情あふれる人になることができますし、子どもがいてもいなくても、面倒見がよく温かい人になることはできます。
私たちは、目標を達成したいということに目を向けがちですが、価値に生きることにも目を向けることで、人生がより充実していくことと思います。
【番外編】ポイント6:食事に気をつける
食事と心と体は、密接につながっていると感じます。
おそらく、私たちが思っている以上に、食事が心と体に与える影響は大きいのではないでしょうか。
私自身が、食事が整えば、心と身体が整い、食事が乱れれば、心も身体も乱れるという経験があるので、番外編のポイントとして記載しました。
以上、惨めな気持ちや劣等感、ネガティブ感情を認めて受け入れるための方法や考え方のポイントを6つ、紹介しました。
この方法は、この記事を執筆している私自身が、ネガティブ感情や怒りなどに対して、実際に試し、とても効果を感じた方法です。